

代表選に見る党分裂の予兆
日本列島が各地で豪雨に見舞われている最中で、9月1日民進党の代表選が行われた。だが、各種世論調査の支持率低迷が影響したのか、野党第一党の党首選とは思えない程に代表選は低調だった。
党内では、同じ政治経歴を持つ前原誠司氏と枝野幸男氏の一騎打ちだったが、結局、前原氏が枝野氏を制して新代表に選出された。
前原氏は捲土重来、再び党代表に返り咲いた事になる。
民進党は先の東京都議選を目前にして、離党者が相次ぎ、とうとう都議選で惨敗、そして蓮舫代表が追い込まれるように引責辞任し、民進党は一年も経たずに再び代表選の実施を余儀なくされた。
昨年、民進党が党名を民主党から民進党に変更し,党首に蓮舫氏を選出、幹事長に元首相の野田氏を就けて、党のイメージ刷新と党の再生を図ろうとしたが、敵わなかった。
筆者は東京都議選の前から、民進党の惨敗を予見して、「そろそろ民進党は次の代表選の準備に入った方がよかろう」と苦言を呈してきたが、まさしくその通りになった。
さて、民進党の新代表に就任する前原氏には心から祝意を表するものの、しかし、この政党が本当に持久力のある政党なのかどうか、大いに疑問がある。総
じて言えばこれが今回の代表選を通じての、偽らざる印象である。
そもそも、代表選を争った2人の候補者が同じ政党にありながら、政治スタンスや個々の政策に関する考え方が根本的に異なっていることだ。
先ずは、政策面では国の基本法である憲法改正の問題だ。前原代表が「議論は大いに結構だ」と言えば、枝野氏は「今はその必要はない」という。いわゆる「推進」と「阻止」の大いなる違いだ。また、2019年からの消費税増税の問題でも前原氏が「増税することは法律で決まっている」と主張すれば、枝野氏は「今は増税すべきではない」という。
それ程に考え方が違うなら、同じ政党に居ること自体がおかしい。だから民進党は政治理念が一致しない寄り合い所帯と言われるのだ。
そして政治スタンスでは、共産党との関係や野党共闘の問題だ。前原氏は共産党とは「組まない」が枝野氏は「組む」という。そのどちらでもなければ、民進党は、他党との共闘無しで党内が一丸となって、自主路線で自公に対抗しなければならない、しかし、民進党は常に党分裂の危機を抱えている。現在のところ同党には離党ドミノによる分裂の兆候は見えても、党内が一丸となる兆しはほとんど見えてこない。直近の世論調査でも支持率は低迷したままだ。
従って、枝野グループが前原新執行部に歩み寄らない限り、今回の代表選によって、民進党はむしろ党分裂の方向に流れが加速していくのではないのか。
なかんずく、沖縄の基地問題に関しても両者のスタンスは違う。前原氏は、沖縄県民とはしっかりと話し合うことを前提にして、現行の辺野古移設は日米合意を理由にして「容認」しているが、一方の枝野氏はこの頃になって、共産党や社民党と同じく明確に「白紙撤回」を打ち出している。どうも、枝野氏は民主党時代に鳩山内閣が「最低でも県外」の公約を破って、「辺野古」へ回帰させたことを忘れているようである。
党分裂の危機を抱えた前原新執行部の今後の党運営を引き続きしっかり、見守りたいと思う。
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