
2016年 11月 1日 更新〈第56回〉
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筆者が旅行中のために次回(57回)は、12月15日に更新いたします。

国籍法違反は明白、党首の資質に疑問
民進党が党名を変更し、党首に蓮舫氏を選出して、党のイメージ刷新を図ろうと精一杯に努力していることは、野党第一党として、誠に結構なことだ。
ところが、野党第一党の党首の資質が、蓮舫氏に本当に備っているのかどうか。今でもある種の疑問を抱く。
金田法相は、民進党の蓮舫代表の二重国籍問題に関して、蓮舫代表は「(原則22歳までに国籍選択)期限後に義務を履行したとしても、これまでの間は国籍法上の義務に違反していたことは明白である。」と、記者会見で述べた。要するに事実上、蓮舫代表は同法の違反に該当することを法務大臣の立場で明らかにした訳だ。
国籍法は、二重国籍者に対して、原則22歳までに日本国籍か、外国籍かを選択することが義務づけられている。ところが、蓮舫氏は現在49歳、彼女が選択手続きを取ったのが去る10月7日だった。
従って、手続き前日までは野党第一党の党首にある者が法律違反をしていたことは明々白々である。
蓮舫氏は説明不足は謝罪したが、しかし、法律違反をしていたことにはまだ謝罪していない。この問題は彼女が長く国会議員であり、また、一時期は国務大臣を務めていたことを考え合わせると、決して看過できない重大な問題である。また、蓮舫氏本人の釈明が二転三転したことも彼女の人間性を疑う。
日本と台湾とは互いに国益が相反
詳細は省くが、問題が発覚した頃から蓮舫氏は「台湾籍は間違いなく抜いた」と断言し、「噂の流布は本当に悲しい」と不快感さえも示した。ところが、その後、手続きをした年齢が18歳から17歳に変わったり、台湾籍保有に言及した雑誌インタビューが発覚するなど、蓮舫氏は意味不明の説明を繰り返した。
先の参院選の広報に「台湾籍から帰化」と明記したことが、公職選挙法に抵触する、との指摘もある。
日本政府は、「二重国籍」を認めていない。蓮舫氏が国籍を有していたもう一つの国(地域)、台湾は歴史的にも親日的な隣国(地域)だが、しかし、現に中国と並んで尖閣諸島の領有権を主張するなど、日本と台湾は互いに国益が相反する国家的な問題も抱えている。
二重国籍であれば台湾との関係で、外交上、間違いなく何らかの疑念が生じるだろう。
国の外交や、安全保障を全うすべき国会議員が、自らの国籍を曖昧にしたまま国会議員であり続けたことには大いに問題がある。それが将来、政権を担うかも知れない野党第一党の党首であればなおさらだ。
白衣のイメージとは真逆
もう一つ、どうしても理解できないのは、蓮舫氏が民進党の代表選の終盤、しかも投票締切日になって初めて自らの国籍問題の手続きに不備があったことを認めたことだ。有権者には投票前に事実を知る権利があるが、蓮舫氏はあろうことか有権者の権利を封じてしまった。
彼女の白衣のイメージとは真逆である。選挙戦術だったとは通らない、蓮舫氏の人間性の一面を垣間見た感じだ。
仮に、二重国籍を有する政治家が自衛隊の最高指揮官となる首相や、国家機密を大量に扱う国防相や外務相に就くことになれば、いったい日本はどうなるのか。
選挙前(参議院選含む)に本件が明らかになっておれば、有権者の投票行動にも大きく影響したであろう。
民進党の代表選は、一定期間延期にして有権者に冷静な判断材料を与えるべきであったが、民進党執行部はそうしなかった。
先日も民放の深夜番組で蓮舫氏の二重国籍問題が議論された。
野党第一党の党首になったからこそ、蓮舫氏には将来の為にも自らの経歴を明確に証明する責任がある。
<完>
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