神山吉光が吠える

<第82回>辺野古移設問題

2019.02.13

2019年2月13日更新<第82回>
政府も認めた軟弱地盤

 「辺野古米軍基地建設の埋め立て」賛否が問われる県民投票を目前に控えて、同基地建設を巡り、安倍晋三首相は1月30日の衆院代表質問で、埋め立て予定海域北側の大浦湾が軟弱地盤で、地盤改良が必要であることを政府として初めて認めた。軟弱地盤の存在は2016年から指摘されていたが、追加の地盤調査を実施しているとして、政府は公式には認めていなかった。
 しかし、首相は「ボーリング調査の結果を踏まえ、キャンプ・シュワブの北側地域における護岸等の構造物の安定性等について検討した結果、地盤改良工事が必要」と述べ、その上で「一般的な施工実績と豊富な工法により地盤改良工事を行うことにより護岸埋め立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であることが確認された」とも述べ、それでも基地建設は可能であることを強調した。

 この首相発言と連動するかのようにこの頃、同基地建設工事を巡り、政府が軟弱地盤の改良工事に約6万本の砂の杭を打ち込む工法を検討していることがわかった。
 水深30メートルの海底に深さ40メートルにわたって地盤の強度が「ゼロ」のマヨネーズ状の軟弱地盤が広がる。地盤改良には最大90メートルの砂の杭を打たなければならないという。(新聞報道)
 防衛省沖縄防衛局は護岸部分と埋め立て部分に分けて工法を検討しているが護岸部分は軟弱地盤に締め固めた砂杭を大量に打ち込んで密度を高め、地盤を強化する「サンドコンパクションハイル」、そして埋め立て部分は地盤の液状化を防ぐため砂杭で水分を抜く「サンドドレーン」と呼ばれる工法である。

 従って、このように同基地建設にはどうしても地盤改良が必要であり、政府は県に対して設計変更を申請しなければならない。ところが、玉城デニー知事は新基地建設反対が選挙公約であり、政府の方針変更が認めらる訳がない。いずれ裁判ということになるのは日を見るよりも明らかである。
 そのことも百も承知で建設変更の申請を行う政府には、よほど裁判闘争で勝利する確信があるからだろう。逆に国が敗訴した場合は辺野古問題は次の知事選挙が決戦場となろう。
「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」と、言う訳だ。


沖縄県「辺野古」工期、費用の試算に疑問

 ところで、政府の建設変更の申請を仮に県が認めたとしても、県はその工期に13年、費用はなんと2兆5,500億円を要すると試算している。この数値は昨年11月県と国の集中協議の中で謝花副知事から藤田官房副長官に出された数値だが、その積算根拠は明らかになっていない。
 安倍首相は国会答弁の中で現段階で「工期や費用については確たることを申し上げることは困難だ」と主張し、また、防衛省も2月5日、野党超党派による沖縄県米軍基地問題議員懇談会で、名護市辺野古の新基地建設の総工費に関し、「さまざまな不確定要素があることから、現時点で見込み額を申し上げられる状況ではない」と回答している。

 県よりも正確なデータ、情報を豊富に保持していると思われる政府が現在の段階で工期や費用の積算は困難とされているが、どうして国の設計変更も出されない段階で県にはそれが出来たのか大いに疑問だ。新聞報道でもその数値だけが独り歩きしている。
本当に県の試算どおりに工期に13年、費用に2兆5,500億円を要するのであれば、特に費用の面では当初予算の10倍だ。そうであれば辺野古問題の賛否を再検討する県民、国民も出てくるだろう。
 県民投票を目前にした時が時だけに、出来れば県民投票の前に、それが無理でも県は速やかに試算の根拠を明らかにするべきである。影響が大きいだけに県は「試算」というだけでは逃げられないだろう。