

12年12月26日に第二次政権を発足させた安倍首相は今年で就任7年目に突入した。残り2年6ヶ月の任期を全うすれば首相在任が歴代最長になる。
政権在任日数ではすでに中曽根康弘元首相の1806日、小泉純一郎元首相の1980日、吉田茂元首相の2616日を追い抜き、そして、来る8月23日には戦後の首相で最長の佐藤栄作元首相に追いつき11月19日には歴代最長の桂太郎元首相に肩を並べることになる。ところが、安倍首相がここまで来るのにはまだまだ越えなければならない山が幾つもある。
今年は安倍首相自身も言及しているように「転換」の1年だ。先ず4月には統一地方選挙、7月には参院選があり前後して5月1日には元号が変わる。そして6月には日本で始めてG20(主要20カ国、地域首脳会義)が開かれ、日ロ交渉と日中関係も大きな局面を迎えている。
またして、政権の頭痛の種になっている沖縄の米軍基地問題も頭の上に大きく伸し掛かっている。安倍首相が桂太郎元首相の在任2880日を追い越し首相在任歴代最長の暁を見るにはこれらの幾山を越えなければならない。
そこで、気になるのは夏の参院選と沖縄の米軍基地問題だ。安倍首相は第1次政権時代の07年参院選で敗北し、政権の座を退く要因をつくった苦い経験を味わっている。仮に大差で敗北することにでもなれば自民党内の安倍下ろしが騒めく可能性がある。ただそれは限定的だとは思うがしかし政界は一寸先は闇だ。
首相も悪夢の再来がないように万策を練っていると思われる。そのことよりも、気になるのは日米同盟に関わる沖縄県の米軍基地、とりわけ米軍普天間飛行場の辺野古移設問題だ。
沖縄側では県政与党やオール沖縄、そして民間団体が中心となって全国の自治体や国民世論に辺野古反対を訴える戦略を練っており、それが奏功すれば「アリの一穴」となって沖縄の辺野古問題が安倍政権にとって大きな打撃となるだろう。しかし全国メディアが沖縄二紙のように辺野古反対の論調を張らない限り、今の段階で急激に辺野古反対の国民世論が高まることはないのではないか。従って夏の参院選に勝利さえすれば11月19日の歴代最長の桂太郎元首相を抜いて安倍首相が首相在任の最長記録を更新することはほぼ間違いないと見ていいだろう。
自民党安倍安定政権と対照的なのは野党社民党の行方だ。
かつて社会党時代の社民党は自民党と2大政党を張り合う大政党だった。
国会議事堂のすぐ隣りに党本部を置き、一時は国会議員が200人以上という大所帯。
それが選挙のたびに議席を減らして土井たか子氏が党首だった頃には盛り返したものの、それも長くはつづかず、現在の党本部は国会議事堂から距離のある東京都中央区新川の賃貸ビルの一室に下がっている。
直面する7月の参院選は、社民党にとって政党としての存亡がかかっている。国会議員5人以上か、国会議員1人以上で直近2回の参院選か、又は前回の衆院選で2パーセント以上の得票率確保が政党要件。これが成らなかったら、政党交付金の配分はなくなってしまう。
衆参議員4人の社民党は、まさに危機に直面している。社民党には沖縄第二区選出の照屋寛徳議員もおり、夏の参院選は同党の存亡問題も含めて、沖縄では照屋氏の会派問題にも関心が注がれるだろう。
(毎月1日定期更新)