神山吉光が吠える

<第14回>日本国憲法は世界でも古典的で稀有な存在

2013.03.20



2013年3月20日更新<第14回>

 護憲か、改憲か、夏の参議院選を目前にして、憲法改正の手続きを定めた憲法九六条の改正問題が、大きな政治テーマに浮上している。その背景には、昨年末の衆院選で憲法改正を党是とした自民党の大勝と日本維新の会、みんなの党が「九六条改正」を公約とし、公明党を除いても三党で衆院三分の二超の議席を獲得したことがある。九六条は、憲法改正について、衆参各院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得なければならない、と規定している。

 三党が公約するように、改正に「三分の二の以上の賛成」ではなく、それを「過半数」とすれば現行より改正の発議が容易になる。

 安倍首相は衆院本会議で憲法改正に意欲を表明し、また、二月の施政方針演説では「憲法審査会の議論を促進し、改正に向けた国民的議論を深めよう」と呼びかけた。

 憲法改正を悲願とする安倍首相のこの表明は、まずは各政党に違和感がなく、賛同しやすい九六条の改正から取り組もうとする姿勢の表れであり、実に現実的で妥当なアプローチと言える。公明党も安倍政権発足時の連立合意で「憲法改正に向けた国民的な議論を深める」ことに同意した。

 一方、民主党は、党内の意見対立から依然として憲法改正に対する党方針が定まっていない。先般の党大会で発表された党の綱領にもただ、「真の立憲主義を確立するために、未来志向の憲法を構想していく」と書いているだけであり、これでは将来にわたっても国の基本法である憲法改正にどう取り組むのか国民にさっぱり分からない。政党の綱領としては魂が抜けている感じする。骨のないタコと言われても仕方がないだろう。

 民主党は、憲法改正が争点になり得る夏の参院選に向けて、今からでも党内論議を尽くして、改憲か、護憲かその方向性をしっかりと国民の前に示すべきである。

憲法は決して「不暦の大典」ではない。

 この十三年間だけでもフランス十回、ドイツ十一回、スイスは二十三回も憲法改正している。また、衆院法制局の調べによると、世界で成分の憲法を持つ十八〇ヵ国の中で日本の憲法は十四番目に古く、日本より古い憲法を持つ国も全て改正を一回以上は経験しているという。

 激動する世界情勢の中で、制定以来一度も改正されてない日本の憲法は実に古典的であり、世界中でも稀有な存在と言える。時代の変化に伴い、国の安全保障はもとより環境権やプライバシー保護の問題など、日常的にも憲法と現実と様々な乖離が目立っている。

 社会情勢の変化に合致した、憲法の適時改正は当然である。1072文字