神山吉光が吠える

<第94回>大決戦のアメリカ大統領選

2020.10.27

2020年10月28日更新<第94回>



勝敗を左右する選挙資金力

 11月3日に迫る米大統領選で、民主党のジョー・バイデン前副大統領に支持率で後れを取る共和党のトランプ大統領が、選挙資金集めでも劣勢に立たされている。10月前半時点の手元残高は約4360万ドル(約45億6700万円)で、バイデン氏の約4分の1にとどまり勝敗に影響する選挙広告への投入でも水をあけられているという。

 

 米国連邦選挙委員会。(FEC)が公表した資金収支報告によると、トランプ氏が10月前半に集めた選挙資金は4530万ドルで、約1億8000万ドルだったバイデン氏に圧倒され、この期間の支出を比べても、トランプ氏の6800万ドルに対し、バイデン氏は1億4520万ドルに上る。 トランプ氏は選挙戦の最終盤に入り、資金力でもバイデン氏に大差をつけられた格好だ。

 

 米国では選挙資金をどれだけ集められるかが候補者の勢いと勝敗を測る重要なバロメーターとされる。しかし、トランプ大統領には16年大統領選では民主党のヒラリー・クリントン候補に資金面で劣りながらも勝利を収めた経緯があり、第一回のテレビ討論会でも彼は「我々は資金を必要としていない」と強気の姿勢を崩さなかった。

お祭り的な長期の米国大統領選挙に資金面がどう影響するか今回も興味がある。

テレビ討論会の印象

 さて、このテレビ討論会だが9月29日の第1回討論会では、両候補者が相手や司会者の発言中に口を挟んだり、制限時間を超過して発言をしたり「妨害が」が相次ぎ、泥仕合の様相を呈した。筆者はアメリカ大統領選を今日まで幾度となく詳細を見聞してきたが第一回討論会に限り、そんなに低次元の討論はなかった。当然ながら討論会の進行を全面的に担う司会者として、2候補の発言を制御できなかったFOXニュースのベテランキャスター、クリス・ウォレス氏にも批判の矛先が向けられた。

 故に、討論会を主催する「大統領選討論会委員会」は2回目で最終回となった10月22日の討論会では、新たなルールを設定。各討論テーマについて冒頭2分間は聞き手候補のマイクの音声を切るなどし、両氏にも相手の発言を妨げないよう求めた。従って、両氏とも司会者の進行通りに、交互に発言する形式がおおむね守られた。初回討論会で妨害行為が目立ったトランプ氏が不規則発言を「自制」し、司会者に配慮する変身ぶりは一見して筆者には滑稽()にも映った。

 初回討論会と同様に最終回でも両氏は政策論争というよりも個人的な「疑惑」を巡る激しい応酬が再び繰り返され、全体として争点がぼかされたという印象だ。

 

過去は現職が7勝3敗で勝利

 米大統領選では一般に現職が有利だとされる。 そのことは沖縄をはじめ、日本国内の選挙でも概ね共通しているように思う。

 1950年代以降、現職が出馬した10回の選挙で現職は7勝3敗だ。現職はいずれの選挙でも日々の動きがマスコミで報道され、実績を訴えやすい上、強大な権限を背景に選挙期間中内外での求心力も高い。

 50年代以降の大統領選で敗れた現職はジェラルド・フォード(共和)、 ジミー・カーター(民主)、 ジョージ・ブッシュ(父、共和)の3氏だ。

 現職大統領の勝敗は、支持率低迷に現れることが多く、米ギャラップ社が過去の大統領選直前に当たる9月~11月初めに行なった世論調査によると、ジミー・カーター氏からバラク・オバマ前大統領(民主)まで再選を目指した現職6人のうち、支持率が40%を下回ったのは、ブッシュ氏(父、34%)とカーター氏(37%)の2人だった。

 フォード氏については、大統領選前にギャラップ社が行った最後の世論調査となった6月時点でも45%だった。 同じ6月で比べると、その後再選された現職のレーガン氏54%、クリントン氏55%、ジョージ・ブッシュ氏。(子、共和)49%、オバマ46%のいずれをも下回っていた。

 米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめによると、今回の大統領選でトランプ氏の仕事ぶりを「評価する」と答えた人が、「評価しない」を上回ったのは就任1週間後にあたる2017年1月27日のたった1日だけだった。最近のトランプ氏の支持率は44%~45%で、バイデン氏の53%~54%を下回っている。

 

 投票日が11月3日に迫る中、世論調査では一貫してバイデン氏が先行し、トランプ陣営は連日、接戦洲での選挙集会を重ね、世論調査による予測を覆した4年前の再現に期待をかける。その一方、バイデン陣営は現在のところ気の緩みを警戒し、「反トランプ」票の積み増しを図る構えを見せている。

 数日後に迫った米国大統領選挙に注目しよう。(10月27日記)